触れ合った唇は少しカサカサと乾いていて、それでも確かに人間の体温がする。こんなに小さい唇からも熱を感じる。
「の口っていい匂いする」
私の頭上から田島の声が聞こえる。小さい身長のくせに、その田島よりもさらに小さい私は田島の胸の中にすっぽり収まってしまう。悔しいけれど嬉しい。
「口って…それって、唇のこと?」
「なんか、色とかもキラキラしてるしいい匂いもするし、柔らかいし」
そりゃ、一応女の私としてはリップクリーム塗ってケアしたり、グロスを塗ったりして少しは気を使ったりしてる。野球第一で日焼け止めなんか塗ったこともないって言っている田島とは違う。
「だから、とキスすんのスッゲー好き!」
そう言って唇を寄せる田島。きちんとケアをしている私の唇に田島のカサカサした唇が重なる。少し痛いくらいだ。それでも、この唇が何よりも誰よりも、好き。
な に 色 リ ッ プ
(明日はなに色にしようか)