肩にガッシリとした大きなの掌の感触。それだけで、嗚呼やっぱり男の子なんだなって感じる。心臓がまるで耳の横に張り付いているんじゃないかってくらいに五月蝿い。
「た、田島…」
夕日が差し込んだ放課後の教室。目の前で真剣な眼差しで私を見つめる田島は夕日に照らされているせいか、すごくかっこよく見える。(この時点で相当私は田島に惚れているなぁと思う)
「あー…なんか、いざってなったらチョー緊張する」
にひっと笑顔を浮かべた田島がいつもの田島どおりでかすかに微笑むことができた。それでも引きつった笑みなんだろう。自分の顔なのに、頬が固い。
「田島、いつも下ネタ連発してんじゃん」
「別に俺そんなスゲぇこと言ってねーよ。普通だって!」
先ほどまでの緊張感がどこかに飛んでしまった。言い切った田島が面白くて声を上げて笑うとつられたように田島も笑い出した。何が面白いのかはわからないけれど、さっきまでの緊張の糸が切れたからだろう。
「笑いすぎて涙出てきた」
「俺も俺も」
ひときしり笑いあって顔を上げると田島と目が合った。距離は先ほどと変わらないために近い。顔が熱くなる。
「俺さ」
「うん」
「のことスッゲー好き」
「うん」
「は?」
田島の表情からはすっかり笑顔が消えていて、別人みたいに真剣な顔で私を真っ直ぐに見つめる。慌てて目を逸らそうとすると、肩を掴まれた。驚いて顔を上げる。
「は?」
「……私も、す、すき」
我ながら消え入りそうな声。それでも田島の耳には届いたみたいで嬉しそうに笑う。でも、さっきみたいに無邪気な子供みたいな笑顔じゃない。知らない男の人みたく笑う田島を初めて見た。
「あー…今、俺すっげーかっこ悪りぃ!スッゲー緊張する」
「わ、私も」
「マジ?」
「マジ」
「じゃあ、一緒だな」
「うん、一緒だよ」
田島の顔が近づいてコツンと私の額に田島の額がぶつかる。目の前に田島の顔があってドクドクと相変わらず心臓は五月蝿い。それでも心地よいのが不思議。グッと私の肩を掴んでいた田島の掌に力が篭る。
「、目閉じて」
「ん」
(初めて触れた田島の唇は真夏なのに少しカサカサしていて冷たかった)